アバターガイドシステムを開発した背景

なぜ今アバターガイドなのか

私たちは2005年にインバウンド専門の旅行会社を立ち上げ、欧米、ヨーロッパ、東南アジアなどからの観光客の手配を行ってきました。立ち上げから17年、独自ツアーの企画と募集や全国の通訳案内士の方々との強いパイプを生かして多くのお客様へ日本の魅力を伝えてきました。

私たちが会社を立ち上げた当初、訪日観光客数は700万人程度のものでした。

日本政府も2030年に訪日外国人旅行者数を6000万人にするとの目標達成を掲げ、順調に外国からの旅行者が増え、コロナ前の2019年には3000万人を突破するまでになりました。

私たちの会社もインバウンドの増加とともに業績を伸ばしていきましたが、2016年ごろからは売上自体が横ばいになってきました。理由は様々ありますが、大手旅行会社の参入や様々なオンライン予約システムの台頭によるものが大きいです。

私たちはインバウンド旅行者の皆さまに日本各地の様々な場所を訪れて、日本の魅力をもっと知ってほしいとの願いからこの仕事をしてきました。そのために、地方の旅行会社や関連業者の皆さまとのお付き合いを大事にしてきました。資金力のある大手の旅行会社やオンラインのシステムにない、負けない中小企業が生き残る新たな一手を考えることが急務となりました。

インバウンド旅行者が増えるにつれ、ガイド不足やオーバーツーリズムなど様々な問題も浮上してきました。このような問題を解決しつつ、日本から発信できる、日本の小さな旅行会社だからこそできるシステムはなんだろう。海外からでは出来ない、心のあるシステムの開発を模索していました。

コロナ禍になり2年が経ち、弊社の事業はストップしたままです。

何をどうしたらいいかわからず、思い悩む日々でした。

ふとある日、海外に行った時のことを考えていました。ガイドブックを持っていなかったので、どうしようかと。

その時は一人旅で今日はどこに行こうかなと朝食を食べながら考えていました。

朝食時はシャンパンも出されていて少しいい気分でした。

Googleマップで近くの観光地を検索してみました。日本語で検索できて便利でしたね。

どんなところなのか簡単な紹介文が載せられていました。ルートを検索してみると割と近くなのでルート検索して歩いていきました。

それは素晴らしい正教会のロマネスク様式の教会で、フレスコ画に圧倒されました。

ただ、古いものなのでキリスト教徒でない私は聖人が誰なのかよく分かりませんでした。

もう少し説明があればな と思いながらその場を後にしました。

翌日も少し時間があったのでGoogleマップで新たな観光地を検索し、今度は地下鉄に乗って別の観光地に行ってみました。

少し迷いましたが、Googleマップのおかげで簡単に目的地に辿り着くことができました。

観光地は昔のシナゴーグでした。簡単な説明の看板がありましたが、現地の言葉で書かれていて全く理解できませんでした。

よくわからないままその場を後にしました。

ただ、Googleマップに感動し、簡単に目的地にたどり着け、自分の好きな時に訪れることができ非常に便利だなと感じたのを覚えています。あの場で日本語で、自分の母国語でいろいろな説明が聞けたらさらに深まった観光ができただろうなと思いました。

アバターガイドアプリの原点かもしれません。自分の実体験からこんなことができたらもっと旅を楽しくできるのになと。

ガイド不足の問題は単に人数不足の問題だけではありません。

日本の魅力をお伝えし、理解してもらう、好きになってもらい満足した旅にしてもらうためにもガイドの質、レベルの向上が一番の課題です。私たちは会社を立ち上げる前に旅行会社で添乗員としてお客様を外国へお連れし、その国の文化や独自のマナーを説明したり、現地ガイドの説明を通訳したりといった経験をしてきています。添乗員のつかない旅行ではガイドは単なるその場所の説明をする通訳ではなく、日本のことをもっと紹介し魅力を伝える指南者となってもらいたいのです。

そのようなガイドは数が限られていて、教育にも時間がかかる。さらに多言語となるともっとハードルが高くなります。コロナが落ち着きインバウンド旅行が再開したら、渡航先として一番人気の日本には多くの外国人旅行者が訪れるでしょう。

このような問題を一気に解決できるシステムとして楓ちゃんをガイドとして開発に至りました。 私には娘がいないので、正直、娘が欲しかったのと、自分自身が添乗員としてやっていた時に私自身がなりたかったガイド像でもあります。

アバターガイドシステムは日本語、英語、スペイン語、フランス語、イタリア語、タイ語の6か国からスタートします。まずは、日本の人気観光地を手始めに、徐々に地方都市へと案内する場所を増やしていきます。

利用するお客様、導入をする業者の皆様や地方自治体の皆さまにも一緒に育てていただきたいと願っています。